弊社では、島根県が実施する「米国非日系市場(自然・健康食品系)販路開拓チャレンジ事業」も、2016年度末(2017年3月31日)で一区切りつきましたので、これまでの活動をまとめてみたいと思います。
「米国非日系市場(自然・健康食品系)販路開拓チャレンジ事業」とは、島根県産品の「安心・安全」という強みをいかし、米国の自然・健康食品市場にターゲットを絞り込んだ販路開拓プロジェクト。
難易度の高いプロジェクト…商品が生まれてから売り場に並ぶまで一貫して支援
「非日系」かつ「小売店」を目指すというのは、日本企業が輸出に取り組むときに最も難易度が高いです。このプロジェクトに、弊社は、専門コンサルタントとして、商品開発、パッケージ&栄養成分表作成、展示会出展による販路拡大、同行営業、営業代行など、商品が生まれて売り場に並ぶまで一貫してサポートいたしました。
2014年度の主な活動
米国非日系市場(自然・健康食品系)販路開拓チャレンジ事業始動。
2014年8月に島根県を訪問、この事業への参加候補となる企業訪問を実施し、7社11商品群の採用を決定、販路開拓支援を行いました。
1. 講演、視察、市場調査によるエデュケーション
2.英語版商品広告資料作成支援
米国の自然食品市場のトレンドに合わせ、各商品の強みを引き出した販促物(フライヤー)を作成。
英語での商品仕様書や、アメリカの規則に従った栄養成分ラベルを作成。
3. 商流構築
日系貿易会社と商流を整備。営業活動用の商品サンプルも手配し、マーケティング&セールス活動の基盤作りを行いました。
4. テスト・マーケティング
ナチュラル・プロダクツ・エキスポ西海岸に出展し、テスト・マーケティングを実施(2015年3月)
5. 商品改良・開発
今年度はこの事業に採用されなかった企業の中で、米国への新規参入に意欲的に取り組む企業に対して、商品改良・開発を支援しました。
2015年度の主な活動
2014年度からの継続企業、新商品開発や既存商品改良をして新規に参加する企業を含め、8社13商品群が採用となりました。企業側の事情により見送りや辞退になった商品もありました。
1.セールス・マーケティング活動開始のための準備
(1)英語版パッケージ作成
2014年度に作成したフライヤーを元に、小売店用の商品パッケージを作成しました。
食品のパッケージには掲載する情報にさまざまなルールがありますので、対応しました。
ー 食品表示に関する規制
ー 栄養成分表(Nutrition Facts)作成、必要に応じて検査
ー UPCコード作成
(2)商品仕様書改訂、注文票作成
(3)営業用サンプルの手配
(4)商流・流通体制の構築
2.マーケティング・セールス活動
1年以上かけてようやく、10月にマーケティング・セールス活動を展開してすぐに注文を取れる体制が整いました。
地道な活動の成果が出て、実際の注文が入ってくるようになり、まだ規模は小さいですが、売上が上がるようになってきました。
(1)販売先小売店の開拓(2015年10月〜)
(2)バイヤー招聘(2016年2月)
(3)島根県企業が来米し、同行営業(2016年3月)
(4)ナチュラル・プロダクツ・エキスポ西海岸に出展(2016年3月)
3.商品開発
粉末醤油と大豆肉の商品開発に取り組みましたが、今年度中には実現できず、2016年度へ見送りとなりました。
2016年度の主な活動
3年度目に突入。
今年度は新規参加企業の募集は行わず、過去2年に参加してきた企業の商品について、販路開拓と営業活動を継続しました。
セールス&マーケティング活動
地道なセールス活動が結実し、2015年度の4倍の売上を達成しました。
1)過年度に開拓したバイヤーのフォローアップ
2)「サマー・ファンシー・フード・ショー2016」出展企業2社を支援
3)「ナチュラル・プロダクツ・エキスポ東海岸2016」へ出展
新商品開発からローカライズまで大きな成果、そして今後への課題も
「非日系」「小売店」への販路開拓は、日本企業が輸出に取り組む際、もっとも難易度が高いですが、この3年の事業を通して、北米展開のための商品を開発したり、既存商品をローカライズしたりできたのは、大きな成果だったと思います。
売上も上がり順調に伸ばすことができました。また、目標としていたホールフーズ・マーケットに商品が並んだ企業もありました。
「非日系」かつ「小売店」を目指すには、流通面や営業面での大きな課題が見えてきたのも事実です。この3年の経験を活かし、引き続き島根県企業にはがんばっていただきたいと思っております。弊社にとっても密度の濃い3年間、さまざまな苦難があり、よい経験をさせていただきました。